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病院でフルネームを何度も聞かれる理由

病院でフルネームを何度も聞かれる理由

病院でフルネームを何度も聞かれるありませんか?その背景や意味を知りましょう!

【項目】

 

その1. 患者確認の重要性

患者確認は医療の最も基本です。違う患者さんに実施してしまうと、どんなにすぐれた医療行為も意味がないだけでなく、大きな害をもたらす可能性があります。

たとえば、検査時に患者さんを取り違えると、報告された他の患者さんの結果によって誤った治療が行われるおそれがあります。また、薬剤は当該の患者さんにとっては有効でも、別の患者さんに投与されると危険をおよぼす可能性があります。食事の配膳時の患者間違えで、患者さんに適していない食事が提供されると、アレルギーが出たり、窒息したりして命に関わる事故となる場合もあります。医療のあらゆる場面で、確実な患者確認は最優先で行われるべきことなのです。

日本で医療事故が注目されるきっかけになったのは、1999年に肺を手術する患者さんと、心臓を手術する患者さんを取り違えて手術をした事故でした。それ以降、多くの医療機関で、患者確認の重要性が認識されるようになりました。

そして、たとえば、入院患者には、手首に氏名や患者さんを特定する情報が記載されたリストバンド(ネームバンド)をつけてもらうことや、検査、薬の投与、診察など、ひとつひとつの場面で、必ず患者確認をすることをルールとするなどの取り組みが進んできました。

しかし、残念ながら、なかなか患者間違いがゼロにはならないのが現状です。理由のひとつには、病院に同じ名前や類似した名前の患者さんが多く通院したり入院したりしていて、見間違えや聞き間違えがおこりやすいことです。また、医療者が「この患者さんは○○さんだ」と思い込んだり、記憶に頼ったりして、十分な確認をしないままに業務を進めてしまうこともあります。

あらためて、患者さん自身も、病院では患者間違いが起こる可能性があることと、ひとつひとつの場面で必ず患者確認をする重要性を理解しておきましょう。

 

その2. 患者が名のる理由

診察を待っている場面で、医療者が「○○さん」と呼びかけて、患者さんが「ハイ」と返事することがありますが、返事をしたのは、本当に○○さんでしょうか。「そろそろ私が呼ばれるころだ」と期待して待っている他の患者さんが返事をしてしまうことがあります。また、下の図のように「○○さんですね」と言われると、つい「ハイ」と返事をしてしまいがちです。

病院では、患者確認が必要な場面で、患者さん自身に氏名を言っていただき、その氏名と医療者の手元にある情報とが一致するかを確認することが推奨されています。

皆さんも、病院で、「フルネームをおっしゃってください」と依頼されたら、医療者があんたのことを覚えていないから尋ねているのではなく、正確な患者確認をするための手続きだということを理解の上、協力してください。

 

 

その3. 患者確認は世界共通の課題

実は、患者確認を正確に行い、患者間違いを起こさないようにすることは、日本だけでなく、世界共通の課題です。米国で病院の評価を担う組織であるJoint Commission では、継続して患者安全目標を出していますが、その第1項目は、毎年変わらず「患者確認の正確性を向上させる(improve accuracy of patient identification )」ことです。つまり、患者間違いをなくすことは、国や地域が異なっても医療現場にとって重要であると同時に、まだ達成できていない課題なのです。

 日本でも、医療安全全国共同行動(医療関係団体と医療機関が医療安全を推進するために協力して行っている全国的な活動)が、患者さんからフルネームを名乗っていただくことを推進する呼びかけを続けています。

これからも、患者さんがフルネームを名乗って、医療者と患者さんの双方で確認するという患者確認に、ぜひご協力ください。