患者安全と医療安全
「患者安全」という言葉を聞きました。「医療安全」とは違うのですか?
正しいのはどっち?
- (A)全く別の意味
- (B)基本的には同じことをさしている
解説します!
- >同じ意味です
- 「医療安全」は、英語では、Patient Safety です。これを直訳すると「患者安全」となります。ですので、基本的にはこの二つは同じ意味となります。日本では、これまでもどちらの言葉もありましたが、医療法などの法律で「医療安全」が使われているので、「医療安全」という言葉が多く使用されてきました。
- >世界とのかかわりの中で
- ただ、昨今、欧米の期間の情報を取り入れたり、2018年にWHOによる「閣僚級世界患者安全サミット」が東京で開かれるなど、海外とかかわる活動も増えており、そのような流れで、「患者安全」という言葉が使用される機会が増えていると考えられます。
答え:(B)
患者情報の閲覧
知り合いが他の病棟に入院しました。症状がとても心配なので、電子カルテで確認してもよいでしょうか。
正しいのはどっち?
- (A)確認してはいけない
- (B)他人にもらさなければ確認してもよい
解説します!
- >業務目的以外での患者情報の閲覧はNG!
- 病院で個人情報を取り扱う際には、個人情報の利用目的を特定して、その範囲内で利用することが個人情報保護法で求められていますので、自分の業務に必要のない患者情報の閲覧はできません。
病院で取得した患者さんの個人情報は、適切な管理のもと、利用目的の範囲で有効に活用することが重要です。 - >電子カルテの落とし穴
- 電子カルテは、場所や時間を問わず、患者情報にアクセスすることが可能なので、診療の質の向上につながる一方、業務に関係のない患者カルテを閲覧するリスクがあります。電子カルテのログを定期的に確認したり、電子カルテを開いたときに、だれがアクセスしたのか履歴が表示されるシステムなど、電子カルテの不正閲覧の防止策を講じている施設もあります。
答え:(A)
医療安全きほんの「き」
患者さんに影響がなかったインシデントは、報告しなくていいの?
正しいのはどっち?
- (A)報告すべきである
- (B)報告しなくてよい
解説します!
- >潜在するリスクをキャッチ
- 結果として患者さんへの影響がなくても、インシデントが発生したのは、そこに何らかのリスクが潜んでいたからだと考えられます。そのまま放置しておくと、また同じことが発生し、場合によっては、大きな事故につながる恐れもあります。
インシデントが報告され、インシデントのうちに対策を立てることができれば、事故に至らずに済むので、インシデント報告は、医療安全のための重要な活動です。 - >もれなく報告しよう
- 何らかの失敗をしたりして発生したインシデントは報告しにくいものです。しかし、インシデント報告は、個人や所属する部署のマイナスの評価に使われるものではありません。むしろ、インシデント報告をきちんと提出できる人や部署は、リスク感性が高く、医療安全の取り組みに協力的だということになります。
答え:(A)
患者にフルネーム確認が面倒くさいと言われたら
一日おきにリハビリテーションを受けている入院患者や、2週間に1回同じ外来を受診する患者から「いいかげん覚えてくれよ。どうして毎回名前を確認する、面倒くさい」と言われます。
正しいのはどっち?
- (A)繰り返し来院している患者さんは確認しなくてもよい
- (B)全ての患者さんに対しどの場面でも必ず確認する
解説します!
- >なぜフルネームで確認するか
- 患者さんは「自分がいつ呼ばれるのか」という思いで待っているので、名前を聴き間違えることもあります。ですから、患者氏名は必ずフルネームで確認しましょう。
こちらから名前を呼びかけて確認するのは、呼び出しであって患者確認ではありません。患者自身がフルネームを名乗るようにしてください。患者自身が医療に参加するという姿勢の第一歩になります。 - >毎回確認されて面倒くさいといわれたら
- 「患者間違えを防ぐために、患者さんからお名前を名乗っていただいています」と、理由を患者さんにつたえましょう。そして、全ての場面で全ての職員が実施しましょう。
答え:(B)
同姓同名の患者さんの名前の確認
私たちの地域では同姓の患者さんが多く、同姓同名の患者さんが受診することがあります。そんな時患者さんの名前確認はどのようにしたらいいですか?
正しいのはどっち?
- (A)生年月日など氏名の2つ以上のもので確認する
- (B)顔を覚えているからフルネームで確認すればよい。
解説します!
- >同姓同名の場合はどうするか
- 地域によっては同姓の方が多い場合があります。
また、漢字が異なっていても声に出して呼ぶと全く同じ名前があります。
同姓同名の患者さんがいる場合は、生年月日や診察券番号、リストバンドなど2つ以上の識別子を使って確認をしましょう。 - >視覚でわかるようにする
- 同姓同名の患者さんの診察券にシールを貼り注意を促したり、カルテに「同姓同名患者あり」など記載して注意を促している医療機関もあります。
事務部門が前日に受診科別に「同姓」患者の一覧を作成し、当日それぞれの外来に配布している医療機関や、入院患者の場合、スタッフステーションのナースコールの横に同姓同名ありの印を付けている医療機関もあります。
答え:(A)
PTPシートの誤飲
どうしてPTPシートを1錠ずつに切り分けて配薬してはいけないの?
正しいのはどっち?
- (A)小さいので、取り出しづらくなるから。
- (B)誤ってPTPシートから取り出さずに飲むことがあるから。
解説します!
- >PTPシートの誤飲事故
- PTPシートとは、薬剤をプラスチックやアルミ等で貼り合わせて包装したものです。患者さんが内服薬を飲むときに、誤ってPTPシートごと飲んでしまう事故が繰り返し発生しています。
一般社団法人日本医療機能評価機構の報告によると、2011~2013年の2年間に26件もPTPシートごと内服してしまう類似事例が報告されました。 - >PTPシートの誤飲を防ぐために・・
- PTPシートの誤飲事故の防止対策として、①PTPシートは一錠ごとに切り離さないこと、②配薬の際、一包化された薬剤とPTPシートに入った薬剤を一緒に渡さないこと、③1錠ずつ切り離したシートは誤飲の危険性があることを患者さんや家族に伝えること、などが推奨されています。
※PTPシートは、誤飲防止のために、横か縦の一方向だけにミシン目が入っていて、手では一錠ずつに切り離せないようになっています。
答え:(B)