MRM室のサービスをご利用いただいた皆様に、2021年7月29日から8月21日の期間に実施した「新型コロナウィルス(Covid-19)が医療安全業務に与えた影響に関するアンケート」について、結果を報告いたします。
※33病院からご回答いただきました
1.回答していただいた病院の基礎データ
(1)病床数
(2)医療安全管理加算の算定状況
(3)新型コロナウィルス(COVID-19)感染症患者の受け入れ状況
2.影響の程度とその内容
(1)医療安全研修の開催頻度
(2)インシデント報告の調査・分析の頻度
(3)医療安全情報等の配信の頻度
(4)院内ラウンドの頻度
(5)マニュアル作成・改訂の頻度
3.医療安全活動の頻度が減った主な理由
4.上手くいったこと
(1)上手くいった内容
✥医療安全研修
・毎年グループで開催している集合研修もZoomオンラインを使用して開催し、コロナ禍のなかでも学習できた(400床以上)
・院外研修もほとんどがWeb開催となり、研修案内を行った(400床以上)
・WEB研修にして、自由な時間での参加となったことと、医療安全推進担当者が動画を撮影した研修自体も職員から好評で、研修参加率が上がった(300~399床)
・WEB研修を導入し、業務終了後開催ではなくなり働き方改革になった(300~399床)
・WEB研修で、研修に参加しやすくなった(100~199床)
・必須研修におけるe-learningの活用が進んだ(400床以上)
・早くから医療安全研修会をハイブリッド形式(感染対策に十分配慮し人数を絞った集合型研修とLIVE配信、後日のオンデマンド研修)で実施した(200~299床)
・WEBで研修を行い、コロナ禍においても大切な研修を実施できた(400床以上)
・動画視聴で研修を行った(99床未満)
・院外から講師を招くことが出来なくなったが、WEB研修へ切り替えられた(200~299床)
・web研修+院内動画閲覧のパターンを取り入れ比較的好評であった(400床以上)
✥会議・情報伝達
・情報共有をより意識するようになった(100~199床)
・会議を短縮にするために、資料の事前準備で伝わりやすい内容になるように工夫するようになった(400床以上)
✥システム・職場環境
・ISO規格の変更(硬膜外麻酔、経腸栄養分野)が、NSTや多職種との協力のにより計画通りに導入できた(300~399床)
・システム導入と重なったためWEB研修などへのシステム移行がしやすかった(100~199床)
・院外研修もWEBで参加できるようになり、移動時間が短縮できた(100~199床)
・ITの活用がすすみ、一気にWEBでの会議や研修会が増えた(200~299床)
・コロナのBCPなど新たなマニュアル作成が病院全体で進んだ(100~199床)
・医療現場と事務部門が情報共有を図り連携する体制となった(300~399床)
・研修でのIT活用により、若手スタッフが活躍し人材育成に繋がった(200~299床)
・システム担当者や、各部署の担当者の活動に支えられ活動できるようになった(200~299床)
✥感染対策
・COVID19チームを早期から立ち上げ、毎朝カンファレンスで問題点の情報共有をし、全職員に発信した(400床以上)
✥院内ラウンド
・必要最低限だが実施できた(99床未満)
5.上手くいかなかったこと
(1)上手くいかなかった内容
✥医療安全研修
・集合研修の中止・減少により、医療安全で必要な演習がほとんどできなかった(400床以上)
・研修日程の変更が必要となった(200~299床)
・院内・院外研修で集合研修ができなかった(100~199床)
・研修の開催方法を整えるのに時間と手間がかかり、全職員受講ができなかった(99床未満)
・グループ病院のWEB研修で通信トラブルがあった(400床以上)
・グループワークやシュミレーション研修ができなかった(300~399床)
・医療安全の集合研修をWEB研修で行ったが、聞き取りにくかった(400床以上)
・分散して研修を実施した為、参加している人の反応が捉えにくいことがあった(400床以上)
・動画での視聴にしたが、視聴できない環境だったり、音量が小さいなどの問題が発生した(200~299床)
・研修会が予定通り実施出来なかった(100~199床)
・通信環境により質疑応答が上手くいかない場合があった(400床以上)
・集合研修が出来ず、単位取得の機会が減少した(400床以上)
・グループワーク等集合研修ができず、深まりが少なかった(200~299床)
・準備に時間を要した(400床以上)
✥会議・情報伝達
・月1回開催していた報告会や集合研修が中止になり、開催していた頃と比較してコミュニケーションエラーが要因となるインシデントが増加した(300~399床)
・紙上で情報伝達を行い、院内ラウンド時に伝達内容の周知をヒアリングで確認したが「知らない」の回答が多くなり、周知に苦慮した(300~399床)
・集合会議ができなかった(99床未満)
・書面会議や時間短縮での実施となり、積極的な意見が減った(400床以上)
・発信したことがうまく伝わっているのか不安になった。同じ時間を使っても質問が多く情報共有が難しかった(400床以上)
✥システム・環境
・導入したシステムでWeb研修を行ったが、パソコンの環境によってはうまく動かなかった(100~199床)
・システム環境が整わず、WEB研修への開催までに時間を要した(100~199床)
・院内Wi-Fi環境下でのWEB研修の際に、接続できる端末数が限られ、希望者が自己負担で参加する状況となった(400床以上)
✥感染対策
・医療安全管理者が感染の知識が乏しい中、感染対策の指導的役割を担う事になり、感染対策を周知することが難しかった(300~399床)
・ほとんどの師長が発熱外来、ワクチン接種にて部署不在となり、医療安全的な問題が生じた際の対応が遅れ患者家族に迷惑をかける事例が発生した。その結果医療安全管理者が多忙になり、医療安全活動への影響があった(400床以上)
✥院内ラウンド
・現場への医療安全ラウンド、転倒転落ラウンドも同時に縮小せざるを得なかった(400床以上)
・一時的に院内ラウンドを控えざるをえなかった(400床以上)
・ラウンド回数を制限した(100~199床)
✥カンファレンス
・現場で行うインシデントの振り返りや、カンファレンスの頻度が減ったことで正しいフィードバックが出来なくなった (400床以上)
✥相互チェック
・グループ施設間の安全ラウンド、医療安全地域連携加算のラウンドが中止になった(400床以上)
・相互訪問が出来ず、地域連携が通常通りに開催できなかった(200~299床)
✥その他
・新型コロナ対策に労力を費やし、以前と比べ医療安全活動に関する新たな取り組みが減少したこと(300~399床)